夢・人・世界
スコー(1997 Vol.25/NTTデータ)

仕事が世の中のためになり、人が喜び、社会がよい方向に向かうことに意味がある。

コラボレーションという言葉の意味をやっと最近みなさんわかってくださるようになったんですが、その意味は共同創造、共になにかを創造していくということです。
「インフォメーション、コミュニケーション、コラボレーション」。情報をコミュニケーションによって共有して、共同創造することを基本コンセプトに、プロデュースするのが私の仕事です。

まず、ヒューマンネットワークがあります。そのネットワークも、ただ人を知っているというだけではなく、その人が何を考え、何ができるかを理解しています。そして、情報があり、その場に一番ふさわしい人を組織して、21世紀に向かってなにが必要かということを考え、理念を込めます。それが、イベントやシンポジウム、地域おこしや自治体への提案、企業の戦略を考えるといった形となって表れていきます。

自分のやっている仕事が、世の中のためになり、人が喜び、社会がよい方向に向かうということでなければ意味がないと考えています。モノが売れて儲かることが目的なのではなくて、それは手段であって、買った人が喜んでくれて、役に立つモノを生み出せたということが目的にならないといけないと思うんです。

いまの仕事にいたるには、これまでの仕事が方向性を定めてくれました。放送局のアナウンサーをしていた頃に視聴率が思うようにあがらなくてスランプに陥ったことがありました。自分はアナウンサーにむかないのではと悩み、模索していたとき、宇野千代さんの「いま現れている能力は氷山の一角で、実は自分は、見えないところにおおきな能力の固まりがあるんだ」というような主旨の言葉に出会って、目からウロコが落ちました。

自分にだって他に能力があるかもしれない。挑戦してみよう。そう考えていると、アンテナが張り巡らされているようで、兵庫県が民間の広報専門員を募集しているという新聞記事が目に飛び込んできました。
県との出会いによって、行政のモノの見方、長期的なスパンで住民のことを考えていくといった立場が見えてきました。それが、いまの私の考え方に大きく影響していますね。

また、阪神淡路大震災にあったことも大きな転機でした。かつては、自分で生きているんだと思っていましたが、実はそうではなくて、生かされているんだということです。ということは、生きている意味があるはずで、その意味はなんだろうと問いかけることによって、価値が生まれてくる。そして、人間がいかに奢り高ぶっていたかということを感じました。

人も宇宙環境の一部だという謙虚な考えで原点に戻り、自然との共生という考え方を持たないといけません。
そのうえ大事なのはモノではなくて、モノ以外の家族や人との絆が蘇ったということです。目に見えない関係を大事にし、尊ぶ心が根本になければならないと思います。

こうしたことを具体的に実現できる方向で、今いろいろなことを考えながらプロデュースしています。